長谷川白紙、バーチャル空間で魅せた圧巻のライブ演出｜SECRET SKY MUSIC FESTIVAL 2020

2020年5月10日、新型コロナウイルスの感染拡大により世界中が混乱に包まれていた最中に開催された
Porter Robinson主催のバーチャルフェス『SECRET SKY MUSIC FESTIVAL』での長谷川白紙のライブ動画。

『SECRET SKY』では、出演アーティストごとに映像演出や画面の構成方法が委ねられており、
それぞれが独自の世界観をオンライン上で表現する形となっていましたが、
長谷川白紙のステージはその中でも際立って独創的で強烈なインパクトでした。
長谷川白紙っぽいっちゃぽいけど。

彼のステージ映像の演出は、映像作家の藤倉麻子と、映像制作チームHOEDOWNが手がけており、
長谷川白紙の音楽性と見事なまでに共鳴していて、抽象的でありながら繊細で緻密、そして大胆にして不可思議なその映像世界は、
長谷川白紙が生み出す複雑な音像と結びつくことで、単なるライブ配信というよりある種の世界でした。

長谷川白紙自体、独自の世界観を持っているアーティストだと思いますが、
その彼がバーチャルという非現実的な舞台ではさらに没入感を高めてきて、長谷川白紙は電脳空間においてこの上なくフィットするアーティストの一人なのだなと実感させられました。

世界は何か重大な危機に出会うたびに一気に技術などを発展させてきましたが、
この『SECRET SKY』というフェスそのものもまた、
パンデミックという未曾有の危機を背景にしたことで、
ただの代替的な試みではなく、新しい表現の扉を開いた出来事として記憶に残っていくのだと思います。
これは新しい表現の更新になるのかもしれません。

コロナ禍によってリアルな場が奪われた一方で、オンライン空間が一気に拡張し、
そこにおいて表現者たちは改めて「届ける」ということを考えたのだと思います。

特に音楽はただ耳で聴くだけのものではなく視覚や空間、時間と融合することでより深い体験となることをさらに意識したのかもしれません。

『SECRET SKY』における長谷川白紙の先鋭的で濃密な演出は、これからのエンターテインメントの未来を先取りしたような、極めて象徴的な出来事だったと言えるでしょう。